以下の記事の解説を試みる記事を書く。
AM変調の理論と数学的導出を解説して実装する | 機械学習と情報技術
...[A]
この記事を[A]と名付ける。
この記事とそのリンク記事が読めれば、AM変調は怖くない、といった感じだと思う。一度読んでみてほしい。
読めて理解できれば、僕のこの記事はいらない。ただ、この記事は骨太で、けっこう難しいようにも思う。
というわけで、解説を試みる。
電波は目に見えないものであるため、
数学的に表現することが実はもっとも理解できるものだと思う。
前回の記事
の話では数式による表現はしていなかったが、
今回はむしろ数学を前面に出していこうと思う。
キャリア
[A]の記事において搬送波(キャリア)は次のように定義される:
ここで、は搬送波の振幅、
は搬送波の周波数である。
さらなる注意として、と書いた場合、
は、時間(=time)[tex : t]によって変わるということを意味する。
はキャリア(=carrier)の頭文字である。
つまり、搬送波は時間によって変化する量である。
物理的には電場の強さになるかと思われる。この数式が何の物理量を表現しているかは、物理現象について詳しくならないとわからない、あるいはどういう物理現象を想定しているかによる。これを専門家は”物理を入れる”と言ったりもするっぽい。
では、電場とはなにか、というところだが、ここでは電圧みたいなものと考えておいてもらっていいと思う
そして、そのキャリアが時刻で変化する様子をイコール(=)の右側で具体的に記述している。
数式の右辺を解読していく。
は、掛け算を明示的に書くと、
となる。
明示的に掛け算を書くと、非常にわずらわしい見た目になるため、
基本的に省略される。数式の約束事である。
振幅における
は「下付き添え字」とか「サフィックス」と呼ばれるもので、記号が何を表しているかのヒントを添える目的がある。
今の場合、はキャリア(=carrier)の振幅(=amplitude)であるから、
このような書き方となっている。
も同様で、キャリア(=carrier)の周波数(=frequency)だからである。
そして、
であるが、これはコサインカーヴと呼ばれるもので、さまざまな物理現象を描写する関数である。(※ブランド名ではありませn)
等速円運動の影を表す関数であり

また今回の通り、波の記述にも使われる超実用的な関数である。
サイン、コサイン、タンジェントと共に登場するよく数学の役に立たなさの槍玉にあげられる関数であるがw
割円八線表に現れる理由は、江戸時代に測量計算に使用されていたからである
つまり、測量計算にも役立つ関数というわけである!
円運動でわかる通り、周期的な関数であり、同じ軌道を何度も何度も繰り返す。
行ったり来たり循環する軌道を表現する場合に使用される基本的な関数である。
したがってその挙動はよくわかっている関数である。
よくわかっている、どころではなく、いかなる時刻における
の数値の大きさもわかっている。
の数値も計算できるし、
の数値も、
あなたがとか適当な数値を言っても、
は値を教えてくれる。
さて、「周期的な関数である」と言ったが、
では、周期はどれくらいなのか?
月曜日は7日周期でやってくる。
地球は1日周期で自転している。
地球は太陽の周りを1年周期で公転している。
[tex : \cos(x)]は円運動を記述しているので、360度周期で繰り返す。
だったら、どうだろう?
の中身が2倍されているので、
のときよりも、動きが2倍速い。
すると、当然、1周する時間=周期は2倍短くなる。つまりは、180度になる。
さて、じゃあ、なら、、、、?
周期は倍短くなる。
そういうわけで、の中身を適当に何倍かすることで、様々な周期の波を表現できるのである。なんと便利なことだろう。
さて、ここまででだいぶ
という数式に親しむことができたかと思われる。
長々と数学のお約束事のような記述の話を書いてきたところで、
より、本質的な内容に移る。
搬送波をと書いているが、より実際に即した書き方をすると、
と書く方がよい。
時間 に依存するが、位置
にも波は依存している。
と書いたとき、暗黙のうちにどこかひとつの場所を固定して、その波の動き方を見ている。お風呂のうえで上下に運動しているアヒルのおもちゃを見ているような視点だ。これを横軸を時間として、上下変動を縦軸として書けば、
のグラフになるであろう。
一方で、ある時刻を固定して、つまり、水面をカメラで撮影した時の波のグラフは、
とでも書くべき、空間の関数となっている。
波というのは、時間の軸から見ても、空間の軸から見ても、波打っているものなのである。
メッセージ信号
をメッセージ信号とする。
情報を運ぶベースバンド信号とも言うらしい。
という書き方は数学に馴れない人にはわかりづらいかもしれない。
ここでのは空間というよりは、未知数の意味としてのXである。
なぜ、「をメッセージ信号とする。」という不親切な物言いしかできないのか?
それは説明者自身、明確にかけないものだからである。
それには2つの理由がある。
1つには、は、ラジオであれば音声信号に対応する信号である。それはコサインカーブのように物理法則に従う行儀のいい規則的な変化ではないし、信号の変化の仕方が複雑すぎて、具体的に書き下すことができない。理屈的な説明をする上では、べつに具体的に知っている必要もないということもある。
2つには、メッセージ信号一般の話をしているわけでもあるから、そもそもが抽象的なのである。スキマスイッチの『奏』の音声を扱っているというわけでもないし、オールナイトニッポンの音声かもしれないし、そうではないかもしれないし、音声一般として考えたいわけであるから、どうしてもその情報はぼやける。
わかっていることとしては、時間とともに変動する量ということである。
そして、逆に、そうでありさえすれば、なんでもいいぜ、ということでもある。
まあ、ここではAMラジオの話をしていると思ってもらって、音声のメッセージを表していることと思おう。
そして、コンプレッサで大きさが調整されて、の大きさは1以下にできていると思っておいてよい。
またしれっとここで、「
の大きさは1以下にできている」というようなことを書くと、読者は振り落とされる。数学は、あるいは数式は、思考を極限にまで省略あるいは尖らせたものであるから、理解するにはなんどもしがんで柔らかくする必要がある。
は音声であるから、コンプレッサとかで音量を調整することができる。一定程度を超える大音量は音割れするため、カットしてしまおうというようなことだ。そして、どうせ、音声をそのまま流すわけではないから、扱いやすいように適当に適当なつまみを回して、電圧が1を超えないようにしておくというわけだ。その方が理論的にも扱い易い。
AM変調信号
さて、AM変調だが、上記のと、メッセージ信号
を使って、以下のAM変調信号を作る:
ここで、本質的に重要なことは、「掛算(*)」をしているということである。
数学的には、数式上で掛け合わせるだけだが、現実的に信号同士を掛け合わせるためには、非常に大変で、ダイオードが必要になる。
ダイオードは半導体で、電圧と電流の関係が以下のような指数関数の関係となる:
(電圧) = exp(電流)- 1
ここで、指数関数の性質として、
というテイラー展開が存在する。
あとの計算で使用するので、詳しく説明してみる。指数関数はいわゆる超越関数と呼ばれる種類の関数で、簡単に言うと、1,2,3,...とか、xとかだけを使用して足したり、掛けたり、割ったりして、表せない関数なのである。
ちなみに\cos(x)もそうである。
だがしかし、足したり、掛けたりを、無限に行うことを許せば、超越関数も表せてしまうというのが、テイラー展開というやつである。
微分という数学演算を使用することで、そういうことが可能になる。
いろいろと芋づる式に数学の果実が現れてくるが、ブログを読んでいく上では余分な脂肪である。しかし、この芋づる式にいろんなものが出てくるというはそこを過去に掘った人類がいたというわけで、そして、その人も人間なのである。そうして、人類は生きてきたのである。豊かだ。
さて、テイラー展開の3つめの項に掛け算[tex : \dfrac{x^2}{2}]に着目しよう。
ここに、入力されたもの()が2回掛け算されていることが見て取れる。
ここに掛け算が存在するということにより、AM変調を行えている。ここが本質的である。
電気回路
さて、AM変調の本質部分が垣間見れたところで、
いったん、この記事は終了する。
次の記事では、電気回路を見てゆきたい。要するに、電気回路の内部で、どのようにダイオードを組み込んで、メッセージ信号と搬送波を変調しているのかというところを見てみたい。
今回は数式の解説を多めに、
AM変調について見てみた。







